海峡を渡るバイオリン

壮絶でしたよ。陳さんの人生。
うぉぉ〜。すげぇぇ。真似できない!って思いました。
実は以前、所さんの番組か何かで、陳さんのミニドラマみたいなのを見ていたので、陳さんの人生の概要?見たいな物は知っていたのですが、さすがに厚いハードカバーの本に書いてある内容は、そんなもんじゃなかったと、思いました。

所さんの番組で紹介していたのは・・・
教師になるつもりで日本に来て、教員免許も取ったのに、日本人ではない陳さんは、日本で教員になることが出来ず、免許もお飾りにしか過ぎないと言われてしまう。
そうして、絶望している時、大学の公開講義?でバイオリンの神秘という話を聞き、バイオリン造りをしようと思う。
しかし、何処へ弟子入りを頼んでも、断られてしまい(朝鮮出身だからということも理由で)、仕方なく独学で作り出す。
それがいつしか、世界で三本の指に入るバイオリン職人になる。
こんな内容でした。

20歳を過ぎてから、始めたことが職につながるというか、世界に認められることになる、と言うことに感動を覚えたのを覚えていました。
が、もう本を読んだら、そんな生易しいものじゃないってことが分かりましたよ。

もうね、すごいです。
多分読んだら次の日、本の内容をだれかれかまわず話したくなるような感じですよ。

戦前、戦時中の日本と朝鮮半島の雰囲気。
私は陳さんが小学生の時に、1年ちょっと下宿していた、日本人の相川先生のエピソードが、結構胸に来ました。
二十歳やそこらの若者が、韓国(あそこの呼称には本当に悩みまする。朝鮮って言うと差別的発言のような気がするし、韓国っていうとそんな国は当時無かった訳で。ただ位置的に言うと、今の韓国ではあるんですが・・・。朝鮮半島って言えば地理的位置を指すことにはなるのかなぁ。いい加減上手い具合に呼び方を考えて欲しい・・・。誰も傷つかない。)に、徴兵を逃れるために教鞭を振るいに行く。そこにバイオリンを一本持って。
バイオリンを弾けてしまうというのは、相当のお坊ちゃんだったんだろうし、そこで先生をしながら、陳さんを自転車の後ろに乗っけて鞍馬天狗を見に行ったり・・・。
夕涼みをしながら、河原でバイオリンを弾き、みんなが合唱する。
そんな光景って、ちょっと素敵過ぎるのに。
やがて戦況は悪化して、兵役を逃れるためにわざわざ韓国にまでやってきたにも関わらず、先生は中国に出兵してしまう。

・・・。
自分と大して年が変わらない、それどころかきっと相川先生の方が若かったかと思うと・・・。
戦争って罪だ。
あの頃は時代がせつな過ぎる。

戦後出会った、朝鮮戦争に行かなければならない黒人のトム。

時代の残酷さってなんなんだろう・・・。

あの頃生きた人たちは、陳さんだけじゃなくて、みんな辛いことを乗り越えて来ているんだろうなぁ・・・と。
思うと切なくなるのであります。

年金制度に無理が生じるのは、無理の無いことだと言っておりました。
というのも、年金制度というのは、戦争で苦労した世代へのものだと誰かが言っておりました。
確かに、そう思うのなら、われわれに年金はもらえなくて当然なのかなぁとも思いました。
しかし、戦争をしたのはそれよりも前の世代であり、戦争で苦労した人間を戦争を知りもしないわれわれが養うと言うのもどういうことなんだ??と思いつつ、なんだか妙に納得してしまうのでありました。

戦前戦時中あたりの、文学でも読もうかなぁ・・・と思った今日この頃でありました。

しかし・・・。
太閤記もそうでしたが、原作?と呼ばれるものが立派だと、大抵ドラマがつまらない。
先に読んだのも失敗だったかもしれません。